GN'R 2007来日!(1)



……さあて、何から書いたものか。
ライヴの体験を言葉にするのは難しい。
とりあえず、7月15日のことを頭っから綴ってみよう。
(あ、これ「ライヴレポ」じゃないです。「Jonoさん覚え書き日記」ですので、セットリストとか、情報的なことは期待しないでね♪)

ガンズライヴの夢から醒めると、時計は昼を過ぎていた。
「あ……熱下がってる?」
前日まであった熱が下がっていた。これは幸先がいい。
メールをチェックすると、友達等から誕生日を祝うメールが届いていた。
中には『(熱が下がって)コンサートにいけますように』と書いてくれている人も。
それら祈りのおかげで熱が下がったものと確信する。

シャワーを浴びて、昼ご飯を作る。いつもは大好きなタラコスパゲティ。さっぱり美味いと思えず、半分以上残す。
「でもとりあえず胃に何か入れたし、これで大丈夫だろ……」

2時過ぎ、外に出る。空は曇りだが、雨は上がっていた。幸先がいい。
ウチから海浜幕張までは1時間18分。ipodでガンズ曲を聴きつつ、電車で移動。

3時過ぎ、友人toriちゃんからのメールを見つける。幕張駅前で皆、食事中とのこと。
今日のメンバーはtoriちゃん、yanboさん、そして去年サマソニに一緒に行ったHちゃんの四人。
わたしひとりが重役出勤。toriちゃんには前日に「熱でたから体調みて適当に行く。前座が終わったくらいに着くかも」の旨を伝えてあった。しかし熱は一晩で下がっていたわけで……。
『なんだろ、これ。冗談で知恵熱とか言ってたけど。あながち間違いじゃなかったりして……』と、電車に揺られつつ、考える。
だってわたしがこの日をどんなに心待ちにしていたか。そして同時に、どんなに心待ちにしていなかったか。
『ふつーライヴの日ってもっとワクワクしてるもんだろ。なんだこのローテンションは。つか、むしろもう帰りたい……』
わたしはガンズ&ローゼスの大ファン。それは“今のガンズ”とは違っていて、今日、ライヴを見てしまったら、決定的にその現実が突きつけられるわけで……。
『もし今日でもって、ガンズのこと嫌いになっちゃったらどうしよう……』
“どうしよう”つったって、どうしようもない。どうしようもないことが、わたしにとっては一番“どうしようもないこと”。自力でコントロールできない範疇のことに、わたしは滅法ナーバスになるタチなのだ。

海浜幕張駅に到着。 駅前にはビラを配る人たちがいる。手荷物を最小限にしたので(ポーチいっこ、傘も持たず)いつもは貰うチラシの類いはスルー……ん?今のチラシには見覚えがあるような……と、振り返ると、見覚えのある人がチラシを配っていた。
『あ!こないだのガンズショップのおにいさんだっ!』 (ガンズショップ=期間限定でガンズの専門店がオープンしていた)
テレパシーが通じたか、彼もわたしを振り返った。そして「あ」と言う顔をし、軽く会釈。わたしも「にへ」と笑い、会釈返し。
なんてすごい記憶力。あんなに何人ものお客を相手にしているのに、わたしのことを覚えてるとは。そういや、インド料理レストランのサッシーさんもわたしのことを覚えてたし……これが客商売ってやつなのかな。ほんとすごい。絶対マネできん。

会場に着くと、係の人が「もう前座は始まってます!お急ぎ下さい!」と声を上げていた。
手荷物検査を受け、会場に入る。(検査員、わたしの小さいポーチを一瞥し「あ、だいじょぶっすね」と、中身をチェックしなかった。確かにこのサイズには猟銃は入らないが)
よし!さっそくtoriちゃんに電話だ!

Jono「着いたよ〜。今どこ?」
tori「まだ駅前のビルだよ」
Jono「そうなんだ。おれもう中に入っちゃった」
tori「……きみってそういう人だよね」
Jono「え」
tori「わかった、今から行くよ」
Jono「あ、すまん(汗)。いや、もう中にいるもんだと思って。前座始まってるし」
tori「こっちは『遅いね』とか言ってたのに……きみって」
Jono「あ、いや、それほどでも……(←意味不明の謙遜)」

toriちゃんとの間で、これまでに五百回は繰り返されているであろうやり取りを経て、通信終了。ロビーのチェアに座り、皆の到着を待つ。
ぽけーとしていると、ロビーのホワイトボードに目が止った。
そこにはこんなメッセージが……

〈今日はガンズ&ローゼス!!〉

嬉しそうなファンの書き込みに、こちらも何となくニヤリとさせられる。
わたしだけではなく、通りすがる人々もそれを見ては口々に何か言っている。
男の子二人組がそこに足を止め、ペンを手にし、何やら書きはじめた。
背後から近寄り「何書いてるんですか?」と言おうとするも、わたしが到達するより早く、彼らは去っていく。
残されたホワイトボードには……


ぷは!スラッシュじゃん!カワイイ!
席に戻り、飽かず眺める。
皆がそれに目を止め、何か言う。なかには「スラッシュはマズいっしょ」と言うコメントもあり、ちょっと笑う。
そんなことをしているうち、toriちゃんらが到着。
「はいこれ、お誕生日おめでとう」と、toriちゃん。
手渡された封筒を開けると、そこには二日後のガンズ武道館公演のチケットと、来月のシンディ・ローパーのチケットが入っていた!
「うわー!ありがとう!……ってか、いいのかこんなに」
「いいの」
「半分払おうか……(←プレゼントに対し無礼な発言)」
「いいよ」
マハラジャ級の気前のよさに低頭しつつ、有り難く受領する。

それから物販で各自買い物をし、意気揚々とライヴ会場内へ。
入口では再度のチケット確認。そこでモタついている間に、わたしはすっかり皆とはぐれてしまったのだOMG!
あっさりひとりになったJonoさん……「そっ、そうだ……ケータイ……yanboさんは携帯持って入ったはず……(他の人らはクロークに預けてた)」
とぅるるる……『……3分以内に、メッセージをお残しに……』
auお留守番サービスになっていた……orz。

現在四時半を過ぎたところ。こっからガンズ登場までの長丁場、ひとりでぽつんとしてなきゃいけないのかおれは……神様!
と、思ったら、割と近くにHちゃんが居るのを発見。神よ、即レスありがとう。
Hちゃんと会うのは、今年の正月以来のこと。地べたにしゃがみ、お互いの近状を話し合う。
前座はとっくに終わり、皆が「さーもうそろそろガンズ?」と思い始めたあたりで、場内アナウンスが響き渡った。
『本日のガンズ&ローゼスコンサートは、アーティスト側の強い要望により……』
にわかにざわつく会場内。
「え、うそ、まさか……」Hちゃんとわたしの間にも不安が広がる。
『開演時間を30分から40分、遅らせて頂きます』

「あああああああ!よかったぁぁぁぁぁっ!!!!!」

しかし周囲からは「ええー」の声。そしてアリーナから出て行く人々。「それだったらロビーでタバコでも吸ってよっ」ということなのでしょうか?
わたしはむしろ、このアナウンス、嬉しかった。だってそういう告知があるってことは演るってことでしょう? 演るメドがついてるってことでしょう? 2時 間待ちくらい覚悟してたので、全然オッケーですよ!(けど、そんなにもアーティストに対するアテが低いというのも……なにか嫌だ)
とにかくアクセルがちゃんと登場しさえすればいいんです。てゆうか、登場しますようにっ!

この頃、yanboさんより電話が入る。
「今どのへんにいるの?」と、おおまかな場所を聞く。
yanboさんとtoriちゃんはけっこう前に居るらしく「もう動けません」とのこと。
一方こちらはかなり左側。柵の外に居る旨を伝える。

yanbo「逝ってきます」
Jono「逝ってらっしゃい」


「わたしはこの辺から動かないと思う〜」と、Hちゃん。彼女はライヴであまり前に出ないタイプなのだ。わたしはと言えば「昨日、熱出たばっかりだし、無理することないかな……」と。
そもそもここだって随分ステージに近い。こんな至近距離でアクセルが見られるんだったら充分でしょう!

6時になり、人もだんだん戻ってきた。しゃがんでいるのも周囲のジャマになり始めた頃、「じゃ、おれ前に行くね」と、Hちゃんに告げ、柵の中に入ってみる。
もそもそ動いて前進し、yanboさん&toriちゃんの後頭部を発見。しかし声をかけるにはちょっと遠い。手を伸ばしてyanboさんの肩を叩く。しか し気付かない。さらに後頭部を叩く。それでも気付かない。どうやら全神経がステージに集中しているらしい。
なんとか無理矢理、自己主張し、ふたりに気付いてもらう。
「よく来れたね」と、toriちゃん。
「死にもの狂いっす」と、Jonoさん。
場所は6列目くらい。時は6時15分。
このまま待てば、ガンズがすぐ近くに来るという算段だ。
うん、いいぞ。楽しんで待とう。

BGMに揺れていたyanboさんが「おおっ」と小声を発する。
「何?何っ?」
「垂れ幕が」
「えっ?どれっ?」
ステージには目にも鮮やかな、帯状の幕が下りていた。『チャイニーズ・デモクラシー(未発表のガンズのアルバムタイトル)』のツアーなので、それはどこか中華風なデザイン。
「……戦(いくさ)?」
どう見ても戦国時代の戦旗のようにしか見えんが……。いや、ある意味それは間違いではない。
ライヴ、是すなわち、戦場なり!朽ちて死ぬのは本望だ!
……とは言いつつも、やっぱり生きて帰りたいわけです。今年にはヴェルヴェット・リヴォルヴァーのライヴも予定されているし。
一部の隙間もない満員電車の中、皆が暴れ狂っている状態。それがライヴ。過去のガンズ公演では死者も出ており、昨日のライヴではアクセル自ら「危ないからもっと下がって」とおっしゃったらしい程にそれは白熱していたとか。

もし今日という日、おれが死んだらどうだろう。
「Jonoさん、ガンズ&ローゼスのライヴで死んだんだって。しかも自分の誕生日に」
……すっげー恥ずかしい。
語り草になるのを避けるために、いつもに増して絶対に生きて帰る決意をする。
「今日は体調もはかばかしくないし……無理しないで大人しくしてよう……」






……そう思った数十分後、4列目とかで暴れ狂っているわけです。これは一体どういう魔法なのでしょう。



アクセルはアクセルだった。
あの見慣れたポーズ、笑顔、歌い方と声。
どこからどう見てもアクセルに違いない。

「アクセルって本当に居たんだ……」
そう感嘆するのも無理からぬこと。わたしはアクセルのファンでありながら、彼を肉眼で見るの初めてのことなのだから。

〈アクセルって本当に居たんだのJono的認知度〉
・ツチノコ
・雪男
・アクセル
・宇宙人

……そーゆうレベル。感嘆するのも無理ありません。

『今日ライヴを見て、ガンズ&ローゼス(アクセル)のことを嫌いになったらどうしよう』
そんなのはまるきり杞憂に終わった。
変わり果てたルックスがどうとか、そんなのはもうどうだっていい。年とれば人間変わるんだよ。そもそも自分だってハタチじゃないだろうが。

アクセルはアクセルで、今、あり得ないほど近くで歌をうたっている。
わたしはいつも真剣にこの人にことを考えていた。会ったこともないのに真 剣に心配したり、彼の不幸な幼少時代を知って「この子が幸せになんなきゃ嘘だよ」とまで思い、そうなりますように、と勝手に祈ったりしたわけで。いっぱい アクセルの絵を書いて、だから、なんていうか……。

       そんなのが言葉になるワケがない。

好きとか嫌いレベルの話じゃなくて。ただもう『有る』ってだけのこと。
プレイされる曲のすべてが、勝手に口をついて出る。そんなライヴはガンズとベルリボだけに違いない。(ストーンズは楽曲が多すぎて無理……)

アクセルがキーボード奏者のディジー・リードを紹介した。ピアノソロが始まり、アクセルは酸素吸入へ。
「♪ふふぅん〜、ふふぅん〜、When will those dark clouds all disappear……って、この曲も歌えるじゃねーか!これはっ……!!!」

───ストーンズの『悲しみのアンジー』でした。

「ああ、ディジー。ストーンズファンである、おれの誕生日を寿ぐために演ってくれているんだね……(←ある意味すげえ幸せな馬鹿勘違い)」

冗談はともかく、日本人にストーンズファンが多いのは彼らも周知のこと。そうしたサービスはこれだけに留まらない。ギターのソロでもそれはやってくれた。

「♪ふふぅん〜、ふふぅん〜、fall on my heart〜、心の傷ぅ〜にぃ〜……って、この曲も歌えるし!しかもなんか日本語入ってなかった?!」

───X Japanの『エンドレス・レイン』でした。
しかしこの曲は“おれの誕生日を寿 ぐために”というわけではなかろう。
さらには国歌『君が代』までプレイ。この曲もおれの誕生日を寿ぐために……じゃないね(強いて言えば、となりで君が代熱唱している男の子のためか)。

Live And Let Die のギターでもって、うっかりスラッシュの幻覚を見てしまう。
あああ、駄目じゃーん、今日はガンズのライヴなのに!

でもね。

二度と言わないから、いっぺんだけここで言わして。


「アクセルのとなりに立つスラッシュが見たい」

……再結成とか具体的な話じゃなくて。ただ「歌うアクセルの横に立って、ギターを弾いている姿が見たい」んです以上。

ライヴ中、アクセルは「これでもか」というほど衣装をチェンジしてました。
Tシャツで出てきたときには『どぉ?』って、こんな↓ひっぱって見せたりして。

なにが『どぉ?』なのか?
このTシャツをくれた人が会場にいたのか?
フロント部分の放送禁止用語をアピールしたかった?
出遅れたのは着替えてたからだよーんと言いたかったのか?
謎だ。

「あ……アクセル水飲んでる……」
モッシュでぐちゃぐちゃになっても、いつもはあまり水分を欲しないJonoさん。しかし今回の汗の排泄量はどうだ。一方ステージ上のおっさんらは好きなだけ水分を摂っている。
「うらやましい……水飲みたいよ……」
この豊かな日本でこんな台詞を吐けるとは。ライヴとはなんと貴重な体験をもたらしてくれるものなのでしょう。
近くにいたtoriちゃんに泣きべそ訴えると「はい」と、ゼリー飲料を手渡してくれた。
神の助けか!(そうじゃない、具体的にはtoriちゃんの助けだ)
これでしばらくはここに立っていられそうだ。
しかし……虚弱体質のカラータイマーが点滅するは早かった。
後半にさしかかった頃、またしても喉が砂漠状態になってしまう。
ああ、倒れちゃったらどうしよう……たすけてアクセル!
……と、いうところに、またしても天の助け。水のボトルがどこからともなく回ってきたという奇跡!ハレルヤ!
どうして今日はこうも願いが叶うのだろう。それってまさかお誕生日だから? モノの本によると『生まれた時に太陽が位置していたのと、同じ場所に配置され る日(誕生日)に、願い事をするとよい。それは通常の状態よりも、よりスムーズに叶うであろう』ってことだったが……。はっ!てことはわたし、今年一年の 願い事を使い果たしたってこと!?

〈本日のオーダー〉
1. 熱が下がりますように
2. 台風が去りますように
3. アクセルがちゃんと登場しますように
4. はぐれた仲間と合流できますように
5. 水欲しい
6. 水欲しい


……のぉぉぉぉおおっ!!!!!!
ちょ……ちょっとまって!わたしにはもっと大きな野望があるんだからさっ!そういうとこばっか拾わないで下さいよ神サマ! あ、でもさっき願ったね。「ア クセルのとなりに立つスラッシュが見たい」って。数年後、それが実現したら。それは今日という日のわたしの願いが届いたということになる。その暁にはス ラッシュ、おれに感謝しろよ!

ライヴではパイロどっかんどっかん。モトリーライヴみたいに火ぃゴー吹いてたし、最後には紙吹雪ぶしゅうーだし、最後にはみんなで揃っておじぎ。こういうの 見るとアクセルのやりたいヴィジョンつうのが、いかにダフやスラッシュと違うかってのがよくわかります(イジーとなんてもっと論外)。めざすはス トーンズ帝国。ミック・ジャガーから経済と勤勉さを学べ。

ライヴ後、toriちゃんに「もう二度とアクセルの悪口言わないよ!」と、誓うJonoさん(これU2のときも言ったな……)。
「どぉだか……」と、疑わしげなtoriちゃんに、「いや!言うかもしんないけど、最後にはかならず『アクセル最高!』ってつけるから!」と、よくわからない誓い方をする。

November Rain でピアノを弾くアクセル。
Patience で口笛を吹くアクセル。
Paradise City でホイッスルを吹くアクセル……
そんなもんが見られたんですから(だからすごい近くで!)もう言うことは何も御座居ませんよ!!!

tori「アクセル、何度も着替えてたね」
Jono「デブだから汗かきやすいんだよ」
tori「たったいま『悪口言わない』って言ったのに…… 」
Jono「え?これ悪口じゃないよっ!事実だよ!事実!(←尚悪いわ」)

そう。それは事実です。
アクセルはセンスも悪いし、太ってるし、髪もヤバい。

しかし



だからどうした



(意味のない大文字で強気の迫力を出す───島本和彦方式)

彼は自分の仕事をした。それはいいライヴだった。(リチャードも可愛かったし)
あとまだもういっちょ、武道館もあるんだ。嬉しすぎる。

帰宅してみると、留守番電話にぶりぶりメッセージが入っていた。
そうか、今日はおれの誕生日だったっけ。後半すっかり忘れてたよ。
自分のバースディすら記憶から吹き飛ぶ日。それは間違いなく『良い日』に違いない。


物販では缶ホルダーを購入。
適当な飲み物の缶が手元になかったので、酸素入れてみた。


身体についていた紙吹雪。帰宅後に発見される。




2007.7.16

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